文化遺産の指定管理者制度の活用について

本市では平成17年度より、行政改革の一環として、また、民の活力、アイディアを活用し、施設の活性化を図る事を目的に、温浴施設、スポーツ施設などに、指定管理者制度を導入してきました。

そこで、一乗谷朝倉氏遺跡、郷土歴史博物館などの文化施設への指定管理者制度の導入についてお伺い致します。

ご存知の通り、国の三重指定を受けている一乗谷朝倉氏遺跡、名勝養浩館は、本市が全国に或いは世界に誇れる歴史的、文化的遺産であります。特に養浩館庭園は、米国、スキヤリビングマガジンに取り上げられ、2008年~2010年まで、3年連続3位にランクされていた、世界に誇れる本市の宝であります。

この庭園は、数奇屋風建築や、回遊式林泉庭園を備える江戸時代中期を代表する名園の一つでもあり、福井藩主松平家の別邸でありました。その後1884年松平春獄によって「養浩館」と名付けられたそうであります。

その後、学術的にも高い評価を受けていましたが、昭和20年の福井空襲により焼失してしまいました。昭和57年、国の名勝に指定されたのを機に、本市による復原事業が決まり、学術的な調査に基づき、復原整備工事が進められ、平成5年に完成、現在に至っているのであります。

このような文化施設は、復原すればそれで完了するものでもなく、本市としても、その維持、管理、運営に、年間人件費込6,000~7,000万円を要しているところであります。

しかし、それだけの巨費を投じても、樹木の根腐れ等、予想外の事態が発生し、ご担当の皆様におかれましては、多大なるご苦労があるものと拝察しているところであります。

また、昨年12月22日の新聞報道によりますと、庭園の池の清掃に関し、請負業者が契約解除を申し出、清掃中断を余儀なくされたようであります。このようなことからしても、優れた専門的知識と技能を必要とする名勝庭園の維持管理を、市が直営(業務委託)でもって管理するには無理があるのではと考えるところであります。

入園者数も平成23年度は約71,000人とお聞きしております。この数は、隣にあります、郷土歴史博物館(62,000人)との相乗効果も含んでのことだと思われますが、多いと思われますか、少ないと思われますか、お伺い致します。また、歴史博物館の年間経費は人件費込みで1億3000万円程とお聞きしておりますが、高いとお考えですか、安いとお考えですか、併せてお伺い致します。

ところで、郷土歴史博物館・養浩館庭園の運営管理を市が直営で行う根拠は、平成19年5月に定めた「公の施設の管理運営方針」にあると考えられますが、これによりますと、両施設は「単に集客効果を狙うものではなく、教育の観点から公的責任を求められる施設」と指定されております。私もその思いを同じくとするものであります。

ではお伺い致します。「教育の観点からの公的責任とは」何を指しているのでしょうか。この方針のもとで立案された「事業方針」とは何なのでしょうか。またその事業をいかなる方法で検証してきたのでしょうか。今日サービス向上のためのモニタリングの実施は避けて通れない課題であると考えております。

確かに、運営方針に定められているように、両施設は集客的観点からのみ、論じるのは適当ではないと思います。

継承すべき歴史的文化的遺産として、(資料や蔵品も含め)学術的視点から保存すべきものであり、そのための情報収集、保管、調査研究は、継続して行うのが望ましいと考えるところであります。

また、両施設は郷土の子供たちに、郷土の歴史を学び、創造性を養い、郷土に誇りを持たせるのに必要不可欠な施設であります。他方県都福井市を訪れる観光客に、福井の魅力を満喫してもらうための重要な施設であることは言うまでもないことであります。

私は、養浩館庭園の素晴らしさは、全国に冠たるものだと思っております。福井駅から歩いてほんの10分、立地条件も大変良いところにあり、その道中には福井城本丸の石垣、お堀、今後整備される城跡公園等福井の歴史を感じるものを目にすることができ、本市の大きな観光資源なのであります。私は、この文化遺産を観光に最大限活用しつつ、後世により良いものにして残す義務があると考えるのであります。

ですから私は、ここら辺で従来通りのコンセプトや旧態依然とした運営方針を見直すべきだと考えたところであります。そこで、昨年広島県の名勝縮景園を視察し勉強してまいりました。恐縮ながらその所見を述べさせて頂きます。

縮景園は広島藩主浅野長晃(ながあきら)が1620年別邸の庭として築成されました。園の中央に濯纓池(たくえいち)を掘って大小10余の島を浮かべ、橋、茶室、四阿(あずまや)などが巧妙に配置され、それらをつなぐ園路によって回遊できるようになっており、養浩館とよく似た感じであります。

庭園のほぼ中央に数寄屋造りの清風館があり、その東側には花頭窓(かとうまど)を設け跨虹橋(ここうきょう)を臨めるようになっております。

昭和15年浅野家から広島県に寄付され、同年国の名勝に指定されましたが、昭和20年原爆によって壊滅状態になりました。広島県は、戦前時の景観に復すべく整備をすすめ、復元し現在に至っております。

縮景園では、平成20年4月に指定管理者制度を導入しており、その入園者数は導入前は15万人~17万人でしたが導入後は19万人~20万人へと大きく増加しております。入園者数だけで語るつもりはありませんが、その庭園管理もトータルで行われており、樹木や草木にいたるまでよく手入れされておりました。また花びらが散り落ちているのに、ちり一つも落ちていません。見せる(魅せる)とは演出することであると知った瞬間、驚きを超えて感動を憶えた次第であります。

企画イベントや庭園管理の高い評価が、入園者数とリンクする、地域への経済的波及効果がある、事業者が全国から集まり競い合う。指定管理者制度のメリットと感じたところであります。

よって本市としても郷土歴史博物館と養浩館とをセットで、指定管理者制度導入への移行を検討すべきだと考えております。またこうした文化遺産は、温浴施設などとは違い、歴史的価値を高め、後世に残していかなくてはならないものであります。よって、業務委託や価格だけの競争は適当ではないと考えておりますが、いかがでしょうか。ご所見をお伺い致します。

これまで私なりに、この指定管理者制度の活用策を研究してまいりました。両施設を運営するための基本方針の策定にあたっては、専門委員会の設置が必要と考えます。運営形態の見直しとしては、例えば、市が直営で行う学術・学芸的部門と民間の運営ノウハウを導入してサービス部門に分け、官民が共同して運営することが望ましいと考えるに至りました。

また事業者を募集するのにあたっては、国が国営公園で行っている募集要項を参考にすべきだと考えております。例えば手元にある、国営讃岐まんのう公園の「運営維持管理業務民間競争入札実施要項」は関連する別紙を含めてなんとA4で550ページにも及ぶものであります。

聞くところによりますと、それに応募する為の事業者の調査研究費は、人件費抜きで1千万円以上の費用を要するそうであります。

それほど過酷な競争に付さなければ、両施設の歴史的価値は守れないと私なりに結論づけたところであります。あらゆる業種から、全国から、応募者を募るのが肝要かと存じます。管理者制度における、プロポーザル方式による提案は複数の業者に企画を提案して頂くことにより、優れた提案、本市の意向を十二分に反映した物を選定することが可能であり、より良い運営を目指す上で、優れた入札方法であると考えます。

また実施にあたっては顧客満足度調査(契約履行確認行為)を事業者に義務づけるなど、徹底したモニタリングが、指定管理者制度実施の正否を決めることになると考えております。

質問を終わるにあたり、「只々経費削減に主力をおいた指定管理者制度導入は本末転倒になってしまう」と広島県の坂井文化芸術課長がお話しされたことも申し添え、ご所見をお伺い致します。

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